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ケータリング事業は、1件あたりの売上が仕出し弁当や宅配弁当とは比べものにならないほど大きくなります。100人規模のパーティーを1件受注するだけで50万円以上の売上が立つことも珍しくありません。

ところが、その大きな案件をどうやって獲りにいくのか——ここで手が止まってしまう事業者の方がとても多いのが実情です。「うちは弁当屋だからパーティーの営業はちょっと…」「そもそもどこに提案すればいいのかわからない」。そんな声を、私たちは日々のコンサルティングの現場で数えきれないほど聞いてきました。

この記事では、ケータリングの法人営業に特化して、ターゲットの選び方から見積もりの組み方、小さな取引を大口案件に育てていく方法まで、実際の数字を使いながら具体的にお伝えしていきます。

ケータリング営業が仕出し弁当の営業と根本的に違う理由

「ケータリングも仕出し弁当も、料理を届けるという点では同じでしょう?」——そう考えている方は少なくありません。確かに「お客様の元に料理を届ける」という点では共通していますが、営業の攻め方はまるで別物です。

仕出し弁当は、完成品を容器に詰めてお届けするサービスです。売上は「食数×1食あたりの単価」で決まり、30食×1,000円=3万円、50食×1,500円=7.5万円といった規模感が中心になります。

一方、ケータリングは配膳スタッフの派遣、テーブルセッティング、会場の装飾、撤収までを含むトータルサービスです。売上は「人数×コース単価+オプション」で計算されるため、80人×5,000円=40万円、150人×6,500円=約98万円と、1件あたりのインパクトがまったく違います。

この違いが意味するのは、仕出し弁当の延長線上でケータリングの営業をしても案件は取れないということです。仕出し弁当の営業が「いかに多くの企業と提携するか」を重視するのに対し、ケータリングの営業は「いかに1社から大きな案件を引き出すか」がカギになります。

だからこそ、ケータリング固有の営業戦略が必要なのです。

ケータリング案件の売上シミュレーションと利益構造

「ケータリングは儲かるらしい」。そんなイメージを持っている方は多いかもしれませんが、実際にどのくらいの売上と利益が見込めるのか、数字で把握している方は意外と少ないのではないでしょうか。

ケータリングの売上は「人数×1人あたりコース単価」が基本です。ここに飲み物や会場装飾などのオプションが加わります。

人数帯別の売上・粗利シミュレーション

規模人数1人単価売上原価率40%の場合の粗利
小規模(会議後の懇親会等)30人4,000円12万円7.2万円
中規模(社内イベント等)80人5,500円44万円26.4万円
大規模(周年パーティー等)150人6,500円97.5万円58.5万円
特大(展示会レセプション等)250人7,000円175万円105万円

注目してほしいのは、80人規模の案件を月に2件受注するだけで月商88万円、年商にすると約1,056万円になるという点です。仕出し弁当で同じ売上を作ろうとすると、1,000円の弁当を毎月880食、つまり1日あたり約40食を営業日ごとに出し続ける必要があります。

利益率を高めるオプション提案

ケータリングの魅力は、料理以外の付加価値で単価を上乗せできることにあります。

飲み放題プランを追加するだけで1人あたり1,500〜2,500円の上乗せが可能です。会場装飾やテーブルコーディネートは数万円単位のオプションになりますし、司会やBGMの手配まで一括で請け負えば、トータルの受注額はさらに膨らみます。

食材の原価率はコースの内容にもよりますが、飲食業全般の目安が30%前後とされるなか、ケータリングでは食材にこだわるケースも多く、料理部分の原価率は30〜45%程度に収まることが多いです(参考:飲食店ドットコム 飲食店の原価率は本当に30%が目安?)。一方、ドリンクやオプションサービスの原価率は料理より大幅に低いため、これらを充実させるほど全体の利益率が改善するという構造になっています。

ケータリングの法人営業で狙うべきターゲットと発注パターン

ケータリングの営業先は、仕出し弁当の営業先とは重なるようで違います。仕出し弁当は「日常の食事」として注文されることが多いのに対し、ケータリングは「非日常のイベント」に紐づいた発注です。この違いを意識するだけで、営業先の選び方が大きく変わります。

業種別の発注傾向

営業先想定人数1人単価の目安年間の発注回数受注しやすさ
一般企業(忘年会・新年会・周年行事)50〜200人4,000〜8,000円年2〜4回★★★
学会・セミナー主催者30〜100人2,500〜5,000円高頻度★★★★
冠婚葬祭(法事・祝賀会)20〜50人3,000〜10,000円不定期だが安定★★★
官公庁・公共機関30〜100人2,000〜4,000円入札中心★★
イベント会社・幹事代行100〜300人3,500〜6,000円年間通じて★★★★★

特に狙い目なのが、イベント会社や幹事代行サービスとの連携です。彼らは常にケータリング業者を探しています。1社と関係を構築すれば、年間を通じて複数の案件が紹介される可能性があります。

もうひとつ見逃せないのが、企業の総務部・人事部が管理する年間イベントカレンダーです。4月の歓迎会、6月の株主総会後の懇親会、9月の中間期打ち上げ、12月の忘年会と、企業は年間を通じて定期的にイベントを開催しています。このスケジュールに合わせてタイミングよく提案できると、受注率は一気に上がります。

官公庁・行政機関向けの営業は入札が中心ですが、安定した需要があるのが魅力です。詳しい営業方法については官公庁・行政・公共機関向けの仕出し弁当・ケータリング営業方法でご紹介しています。

ケータリングの見積もりと価格設定で大口案件を逃さないコツ

「いくらで出せばいいのか見当がつかない」——ケータリングの営業でつまずく事業者の多くが、この価格設定の壁にぶつかります。高すぎると競合に負け、安すぎると利益が残らない。この匙加減は経験だけで解決するのは難しいものです。

見積書に盛り込むべき項目

ケータリングの見積書には、料理代だけでなくサービスの全体像を記載する必要があります。

必須項目: 料理(コース料金×人数)、飲料(飲み放題プランまたは本数単位)、配膳スタッフ費(1名あたり×時間)、設営・撤収費、食器レンタル費(使い捨てでない場合)、交通費・駐車場代

オプション項目: テーブルクロス・装花などの会場装飾、音響・照明機材のレンタル、司会やコンパニオンの手配

項目を細かく分けて記載する理由は、担当者が社内稟議を通しやすくするためです。「ケータリング一式 50万円」では稟議が通りにくくても、「料理32万円+飲料8万円+スタッフ5万円+設営撤収3万円+交通費2万円」と内訳が明確であれば、担当者は上長に説明しやすくなります。

「高い」と言われたときの対処法

見積もりを提出した際に「もう少し安くならないか」と言われることは珍しくありません。ここで単純に値引きをしてしまうと利益を圧迫するだけです。

有効な対処法は、松竹梅の3プランを用意しておくことです。

プラン料理内容1人単価特徴
梅(カジュアル)フィンガーフード中心3,500円立食向け、スタッフ最小構成
竹(スタンダード)温菜・冷菜のビュッフェ5,500円配膳スタッフ付き、装飾あり
松(プレミアム)コース料理+ライブキッチン8,000円専属シェフ、フル装飾

3つのプランを提示すると、多くの場合、真ん中の「竹」が選ばれます。最初から1プランだけ出すより、成約率が高くなるだけでなく、単価も上がりやすいのです。

小規模取引から年間のケータリング契約に育てる方法

ケータリングの大口案件をいきなり受注できるケースは稀です。実績のない会社にいきなり100人規模のパーティーを任せる企業はまずありません。

だからこそ、最初は小さな入口から入って信頼を積み上げるプロセスが重要になります。

ステップアップの具体例

入口:会議用の弁当30食(月1回) まずは仕出し弁当として取引を開始します。ここでの目的は売上ではなく、総務や人事の担当者と顔をつなぐこと。毎月の納品時に「ケータリングもやっています」とさりげなく伝えておきます。

ステップ1:社内懇親会のケータリング(50人規模) 弁当の取引で信頼関係ができたタイミングで、社内イベントの相談をいただくケースが増えてきます。最初のケータリング案件は、ここぞとばかりにサービスの質で差をつける場面です。

ステップ2:年末の忘年会や周年パーティー(100〜150人規模) 一度ケータリングで良い体験をしてもらえれば、大型イベントの声もかかりやすくなります。

ステップ3:年間契約 「年間のイベントはすべて御社にお願いしたい」——ここまでくれば、安定した売上基盤が完成します。

1社あたりの年間取引額を計算してみる

この流れで1社と取引を深めた場合、年間の売上はどうなるでしょうか。

  • 会議弁当:月1回×30食×1,200円=3.6万円×12ヶ月=43.2万円
  • 社内懇親会ケータリング:年2回×50人×5,000円=50万円
  • 忘年会or周年パーティー:年1回×120人×6,500円=78万円
  • 合計:約171万円/年

1社との取引だけで年間171万円。こうした法人顧客を5社持てば、ケータリングだけで年商850万円を超えます。

リピートにつなげる「48時間ルール」

イベント終了後48時間以内にお礼の連絡を入れてください。電話でもメールでもかまいません。このタイミングで「参加者の反応はいかがでしたか?」と聞くだけで、次の案件の相談につながることが驚くほど多いのです。

逆にフォローを怠ると、次回は別の業者に声がかかります。ケータリングは一度の体験で満足しても、担当者は「次はもっと良いところがあるかも」と常に比較しています。繰り返し接点を持つことで、「わざわざ他を探すより、いつものところに頼んだほうが楽」という状態をつくるのが、リピート獲得の本質です。

既存顧客との関係構築をさらに深める手法については、仕出し弁当・ケータリングの既存客掘り起こし営業で売上を安定させる実践手法もあわせてご覧ください。

ケータリングの営業リソースが足りないときの現実的な打ち手

ここまでお読みいただいた方の中には、「やるべきことはわかった。でも、調理もしながら営業までやる余裕がない」と感じている方もいるかもしれません。

仕出し弁当・ケータリング事業者はスタッフをギリギリの人数で回していることが多く、営業専任の担当者を置ける会社は少数派です。それでも営業を止めるわけにはいきません。営業が止まれば、新規の案件は枯れていくだけです。

こうした状況でひとつの打ち手になるのが、営業代行やコンサルティングの活用です。営業のプロに新規開拓やリスト作成を任せることで、自社は調理とサービスの質を高めることに集中できます。

日本仕出し営業代行センターは、ケータリング・仕出し弁当に特化した営業代行・コンサルティングを行っています。新規客の開拓だけでなく、既存客の掘り起こし、メニュー開発、営業チームの仕組み化まで、事業全体をサポートしています。ケータリング事業をこれから始めたい方は、飲食店や仕出し弁当屋がケータリング事業を始める方法もあわせてご確認ください。

まとめ

ケータリングの法人営業は、仕出し弁当とは異なる戦略が求められます。1件あたりの売上規模が大きい分、見積もりの組み方やターゲットの選定、取引を育てるプロセスが成果を左右します。

まずは、既存の弁当顧客に「ケータリングもやっています」と一言添えるところから始めてみてください。意外なほどすんなりと、最初の案件は生まれるものです。

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